安心できる空間づくりを屋根から。私たちは防水工事のプロフェッショナル集団です

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知っておきたい防水の基礎知識basic knowledge

皆さまがお住まいの建物は必ず防水がされています。普段は気づきにくいものですが、雨をしっかり防ぎ、日々の暮らしや財産を守るというとても重要な役割を果たしています。

しかし、時間が経つにつれて防水性能は徐々に低下していきます。皆さまの資産である建物を長持ちさせるためには、適切な時期に、適切な方法で改修していくことがかかせません。

ここでは、防水とその改修方法についてできるだけわかりやすくご説明いたします。わからないことがありましたら、お気軽に雨漏りSP北海道までお問合せください。皆さまの大切な暮らしと資産を守るためにお役立てください。

① 防水ってなんだろう?

雨漏りさせないために何かしていることはご存じでも、具体的に何をしているかはなかなかご存じないのではないでしょうか?防水とは、建物を「水から防ぐ」仕組みのこと。私たち雨漏りSP北海道は、「防水材料」をつかって屋上に「防水層」を施工する「防水工事」のプロ集団です。

雨漏りは、①水があり、②水の通り道があり、③水を動かす力(重力や水圧、毛細管現象など)が作用することで起こります。3つの要素が揃ってはじめて漏水事故が起きるため、①から③の内、どれかひとつでも防ぐことができれば、雨漏りを防ぐことができるのです。防水工事では、水があり続けることをなくす工夫をしながら、水の通り道をつくらせないように防水層の施工を行います。水の通り道のことを防水用語では「水路(みずみち)」と呼んでいます。


『屋根の形からみる防水』

防水用語では、左側のように屋根に勾配のついた屋根を「勾配屋根」、右側のように平らに見える屋根を「陸屋根(ろくやね・りくやね)」と呼びます。



勾配屋根は、雨が勾配に沿ってスムーズに建物の外側へ排水されていきます。対して陸屋根は雨を一旦受け止め、排水口から排水します。平らにみえますが緩やかな勾配がついており、水は排水口に流れていきます。
この勾配は100分の1(100cm進むと1cm下る勾配)、50分の1(50cm進むと1cm下る勾配)などと呼ばれます。

では、どちらの屋根がより高性能の防水が必要でしょうか?答えは陸屋根です。勾配屋根は漏水の三大要素である「水があること」を勾配によって低減することができますが、陸屋根は勾配が緩やかなので、一時的ですが水溜りができやすい形をしているからです。

雨漏りSP北海道は、高い防水性能が求められる陸屋根の防水を得意としているからこそ、防水にかかわるどのようなご相談にも対応できるのです。


『業種区分からみる防水』

建物はさまざまな部材で構成されています。そして部材ごとに工事の内容が異なるため、それぞれ専門的な知識や技能を有した人たちが協力してひとつの建物をつくっていきます。

「防水工事」も、そうした工事の種類のひとつです。では、どのくらいの数の工事分野があるのでしょうか?現在では29の業種に分けられています。詳しくは、「建設業法による建設工事の業種区分一覧表(国土交通省)」をご覧ください。

さて、建物全体を考えた時、外側になる屋根や壁、そこに取り付けられている窓やサッシなどはもれなく防水性能が必要になります。ですから「防水」という言葉は「防水工事以外」でも広くつかわれます。では、「防水工事」を行う範囲とはいったいどこからどこまでなのでしょう?ヒントは『屋根の形からみる防水』にあります。

勾配屋根のように水が切れやすい形をしているほど、防水性能は低くてもよいはずです。少し大雑把ないい方ですが、壁のように直立している部分には「塗装工事」や「タイル工事」による仕上げが、勾配屋根には「屋根工事」や「板金工事」によって、金属の薄い板や瓦などの屋根葺き材が施工されるかもしれません。

いずれも、防水にかかわる工事ですから「防水」という言葉をつかいますし、防水機能が確保されなければ困ります。ただし、わたしたち雨漏りSP北海道が行う「防水工事」の防水とは、水が溜まりやすい陸屋根やバルコニーの床など、より高い防水性能が求められるところ、あるいは勾配がしっかりついているところでも、高い防水性能を必要としている部分に施工する工事なのです。


『防水工事の防水と他業種でおこなう防水の違い』

防水工事で施工する防水層を「メンブレン防水」と呼びます。「メンブレン」とは「膜」という意味で、防水対象に連続一体化した不透水性の皮膜を形成する防水です。

一方、他業種で金属製の薄い板や、折板などを用いて屋根を覆う防水や、構造自体に材料を浸透させて防水性能を高めるような防水のことを「非メンブレン防水」と呼びます。文字通り「膜でない防水」という意味です。

知っておきたい防水の基礎知識では、メンブレン防水についてお話を進めて参ります。

②なぜ防水改修が必要なの?

建物の寿命は構造によっても異なりますが、60~65年、いやいや100年…などといわれております。建物を守る防水層の寿命はおおよそ下記のとおりとなります。防水層の寿命で考えると建物のライフサイクルの中で少なくとも2~4回の防水改修をすることが必要になります。

アスファルト防水押えコンクリート仕上げ

標準耐用年数 約17

アスファルト防水露出砂付仕上げ

標準耐用年数 約13

合成高分子系シート防水

標準耐用年数 約13

ウレタン塗膜防水

標準耐用年数 約10

※旧建設省が主体となって行われた総合技術開発プロジェクト(昭和55~59年)の「建築物の耐久性向上技術の開発」資料より引用。

耐用年数とは…

耐用年数とは、何らかの原因により防水層が損傷し、雨漏りが発生するまでの期間のことをいいます。標準耐用年数は、現在国から示されている唯一の指針ですが、ちょっと古いのも事実です。防水材料の品質向上、工法の技術革新によって今ではもう少し耐用年数が伸びているとの意見もあります。


建物の健康も、予防保全の考え方が大事です

防水層の劣化が著しく進行してからの改修工事では、今ある防水層をすべて剥がしてからの工事となってしまうなど、思わぬ費用や時間がかかります。今の防水層の状況を的確に把握し、限界が来る前に改修を実施することで、建物の耐久性の維持保全、工事にかかるコストともにメリットが得られます。


③防水にはどんな種類があるの?

防水の種類は、細かく見ていくと数百をくだりません。なぜそんなに数が多いのでしょう?そこには「材料」と「工法」と「仕様」が大きくかかわっています。まずはそれぞれの言葉の意味を大まかにつかんでおきましょう。


「材料」とは…

防水工事に用いる材料は、材料製造業者(以下、メーカー)さんが製造しています。適材適所にさまざまな種類に分類されます。大別すると「塗る」防水と、「張る」防水材料に区分されます。

①「塗る」防水
塗る防水 イメージ

液状の防水材料を撹拌し、化学反応を起こして防水層をつくる工法です。狭く、複雑な部分の施工に向いています。施工する下地に凹凸があると防水層に厚い箇所と薄い箇所ができ、不具合が起きることもありますので、下地処理が重要になります。「塗る」防水として、ウレタン塗膜防水がよく知られています。

②「張る」防水
張る防水 イメージ

工場で成形されたシート状の防水材料を貼り合わせる防水です。「塗る」防水よりも下地の影響を受けにくい特徴がありますが、シートのつなぎ目処理に職人の技量差が出やすい面があります。よく使われる「張る」防水としては塩ビシートや加硫ゴムシート防水が知られています。

③「塗る」と「張る」を組合せた防水
「塗る」と「張る」を組合せた防水 イメージ

「塗る」と「張る」を組合せた防水として、最も知られているのはアスファルト防水です。2層以上重ねて施工するため、とにかく丈夫で長持ちします。両防水の特徴を有しているので下地の精度や施工者の技術に、仕上がりが左右されにくいといえます。近年ではアスファルト防水の進化系である「常温粘着工法」や「トーチ工法」に代表される、「改質アスファルトシート防水」が改修工事を中心に多く採用されています。

「工法」とは…

防水材料によって施工の方法は粗方決まっています。ここでいう工法とは、材料とは関係なく、どのように防水工事を行うか、どのような機能をもった防水層にするかで分類で、後ほどご紹介いたします。

「仕様」とは…

一番細かい分類です。各メーカーさんなどで、どの材料を、どんな工法で防水層にするかによって分類されており、仕様は「仕様番号」によって表されます。仕上げ方法によって仕様番号が異なることもあります。

以上のことから、防水の種類は「材料の種類」×「工法の種類」×「仕上げ方法」=「仕様」といった具合にその数が膨れ上がっていきます。そのため、すべての工法、仕様を比較検討して最良のひとつを選び出すことは極めて困難といえます。

そこで、私たち雨漏りSP北海道は日本の防水材料トップメーカーである田島ルーフィングとタイアップし、最良の工法選定に努め、研鑽した施工技術で防水層をつくりあげています。
それでは、材料と工法の種類について代表的なものをご紹介いたします。


『材料の種類』

アスファルト防水

アスファルト防水は、日本の近代建築がはじまって以来、屋上を守り続けてきた最も歴史が長い防水です。アスファルトは原油を精製する過程で最後に残るものです。このアスファルトを防水工事に使えるよう処理をして、現場で液状にしてつかったり、ルーフィングやシートと呼ばれる巻物に含浸させたり、コーティングしたりして材料をつくります。一番上に施工するルーフィングの表面には砂粒が付いていますが、これは紫外線などの劣化要因からアスファルトを保護するための工夫です。




ルーフィングはこのような感じで、1m×10m程度の巻物になっています。アスファルト防水はルーフィングを重ね張り(積層)することができ、下張り用のルーフィングの表面には砂粒はついていません。右の写真は仕上げ用のルーフィングで表面に砂粒が付いていますが、黒く見える部分がありますね?赤線で囲ってある部分です。この部分はルーフィング同士の重ね代になる部分で、100mm幅あります。100mm重ねることでルーフィング同士を一体化させることができます。




この材料は、防水工事用アスファルトを成型して固めたものです。溶融釜(ようゆうがま)というアスファルトを溶かす大きな釜に入れ加熱して、液状にして使います。液状アスファルトの温度は260~280℃程度あり、溶かしたアスファルトは道路の舗装工事の時のように、独特なアスファルトの臭いと煙が発生します。冷えるとすぐ固まるので、強固な接着力と信頼性の高い防水性能が得られます。
また、アスファルト防水は約100年間の歴史の中で派生して、いくつかの工法が確立しており、工法に応じて材料も次のように分かれています。

アスファルト防水 熱工法

液状アスファルトを柄杓で撒きながら、ルーフィングを張って積層させる工法用の材料で、溶融釜をつかう唯一の工法です。二人一組で施工する様子は「流し張り」と呼ばれ、アスファルト防水熱工法の代表的な施工風景です。

改質アスファルト防水 トーチ工法

シートの裏面に液状アスファルトがコーティングしてあり、トーチバーナーと呼ばれる火器をつかってシートを炙り、アスファルトを溶かし出しながら施工する工法用の材料です。



改質アスファルト防水 常温粘着工法

溶融釜もトーチバーナーも使わない工法で、シートの裏面に改質アスファルトの粘着層がついています。施工する時は、粘着層についている剥離紙を剥がしながら張付けていきます。



北海道は、秋から冬にかけての低温と積雪があるため、トーチ工法が主流です。防水材料を施工するのも、雪を融かすのもトーチバーナーが実は便利なのです。常温粘着工法用材料の粘着層は、低温時に接着性が低下し、施工しづらくなります。施工時期は夏場がよいでしょう。熱工法は、施工の早さや施工品質の確保を行いやすいのですが、臭いと煙が発生するため、改修工事では敬遠されがちなのが実情といえます。ただ最近は臭いと煙の少ない材料も開発が進んでいます。

ここで、何気なくつかっている「改質」という言葉について、説明させてください。「改質」とは書いて字のごとく、質を改めるという意味で、簡単にいえば防水工事用のアスファルトにゴムや樹脂を加えて改良していることを指します。
「おやっ?熱工法だけ改質の文字がついてないぞ?」とお思いになった方もいるのではないでしょうか?改質技術は40年程前から始まったため、それ以前からおこなわれていた熱工法は改質していないアスファルトを使用していました。現在では、熱工法用の材料も改質されているものがありますが、熱工法とその他を明確に区別するのに、便宜上「改質」という言葉を熱工法にはつけていないようです。

塩ビシート防水

丁寧にいうと、塩化ビニル樹脂系シート防水などと呼ばれる工法です。材料は塩ビ管でおなじみの、あの「塩ビ(塩化ビニル樹脂)」を主体に、可塑剤(かそざい)という塩ビを軟らかくするものやシートに色をつけるための顔料など、いろいろな材料を配合し、シート状に成型したものです。



材料は、1.5mmと2.0mmの厚さがあり、1.2m幅10m巻が一般的です。塩ビシート同士の重ね幅は45mm程度で、溶剤をつかった「溶着」(写真:左)か、熱風溶接機という工具をつかった「融着」(写真:中央)により、シート同士を接着させます。下地への張付けは、シート全面に接着剤を塗って張付ける方法と、誘導加熱装置(小難しい言葉ですが、電子レンジのような仕組みの機械です。)をつかって部分的に固定する方法があります(写真:右)。




加硫ゴムシート防水

加硫ゴムシートは、自動車のタイヤを薄くシート状にしたような材料で黒い色をしています。加硫とは、生ゴムに硫黄を混ぜ合わせて加熱し、化学反応させることです。こうすることで強靭なゴム弾性が生まれます。シートの重ね代は100mm幅で接着剤と両面テープをつかって張合せていきます。写真のピンク色に見えるのが接着剤、赤い矢印の部分が両面テープです。



ウレタン塗膜防水

ウレタン塗膜防水は液状の材料で一斗缶に入っています。多くは主剤と硬化剤の2液で、現場で計量、撹拌して施工していきます。撹拌すると徐々に化学反応が進んでウレタンゴム化します。反応が進むと硬くなってくるので、特に気温が高い夏場は撹拌してから扱っていられる時間が短くなります。逆に冬場はなかなか反応が進まず、1日たっても次の工程に移れない場合もあるため、硬化促進剤(化学反応を早める材料)をつかいながら施工することもしばしばです。

また、ウレタン塗膜防水の特徴のひとつに、「防水層の上を歩いても大丈夫」ということが挙げられます。マンションのバルコニーにウレタン塗膜防水がスタンダードになっているのも、この「軽歩行用途」があるためです。

ウレタン塗膜防水の材料は、プライマー、ウレタン防水材、保護塗料を必ずセットとして考えなければなりません。それには次のような理由があります。

  • ウレタン防水材はプライマーなしで塗布すると、下地と接着が弱くなってしまうことが多く、施工後に剝がれてしまう。
  • ウレタン防水材は、保護塗料を塗らない状態で紫外線にあたると、すぐに防水性能が落ちてしまう。

プライマーは、下地とウレタン防水材の間に入って、相互と強固に接着する役割をもっています。下地に合わせてプライマーを選ぶ必要があります。保護塗料は、ウレタン防水材を紫外線などの劣化要因から守るために必須です。高耐久性のものや遮熱性のあるものなど、グレードによって金額も変わりますので必要に応じてつかい分けることが賢い選択といえるでしょう。





プライマーはアメ色(ほとんど透明か淡黄色)をしており、下地に塗布すると濡れ色になるのでわかります。刷毛やローラー刷毛で塗布します。






ウレタン防水材は、計量して撹拌機でよく混ぜます。田島ルーフィングのウレタン防水材は主剤に着色してあるので混ざり具合が見てよくわかるので、撹拌不足による不具合を防止できます。計量は、主剤と硬化剤の配合比を守らないといけませんので、けっこう頭もつかいます!(笑)

ウレタン防水材はコテやゴムベラ、刷毛、ローラーと施工する部位でつかい分けながら塗布していきます。液状材料なので狭いバルコニーなどもシート状材料より施工しやすいのです。





保護塗料も2液を撹拌し、ローラー刷毛をつかって塗布していきます。保護塗料は色のバリエーションもたくさんあるので建物に合わせてお選びいただいています。

FRP防水

FRPは、「Fiber Reinforced Plastics(ファイバー・レインフォースド・プラスチック)」の頭文字からきています。わかりやすくすると、「繊維で強化したプラスチック」という意味になります。FRPは防水以外の用途でも広くつかわれている材料なので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。実は船の船体や浴槽、浄化槽など、あのカチカチで表面になにか繊維質のものがみえる……あれです。
FRP防水材料も液状で、戸建住宅のバルコニーなどでよくみることがあります。





不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤を静かに混ぜ、塗布していきます。ガラス繊維の不織布(写真:左)をサンドイッチするように樹脂を塗布した後、脱泡ローラーと呼ばれる専用工具でガラス繊維中にある空気を抜きます(写真:右)。





工程が進むと、保護塗料を塗る前にサンディングと呼ばれる表面研磨をおこないます。最後に保護塗料を塗布して出来上がりです。工程が多いようですが、材料の化学反応が早いためスピーディな施工が可能です


『工法の種類』

どのように防水工事を行うか、どのような機能をもった防水層にするか、建物は形、仕上がり、用途も千差万別です。いわば1件1件がオーダーメイドです。費用対効果の高い、ご満足いただける防水工事をご提供するために、工法選定は非常に重要なポイントです。

各工法を比較しながら、工法の種類についてみていきましょう。

密着工法(接着工法)と絶縁工法
密着工法(接着工法)…

下地に対して、防水層を全面的に張付ける工法です。張付ける方法は、防水材料によって異なります。
アスファルト防水の熱工法なら溶かした液状アスファルトでルーフィングを張付けますし、常温粘着工法なら、シートの裏面にある改質アスファルトの粘着材で張付けます。塩ビシートや加硫ゴムシートは接着剤をつかいます。

密着工法の(接着工法)長所と短所

長所は水密性と耐風圧性といえます。

  • 「水密性」とは…
    圧力がかかった環境下で液体が内部に入ってこない(または外部に流出しない)性質のことです。水密性の高さを防水用語として簡単に説明しますと、つまり「漏水のしにくさ」、水路(水の通り道)をつくらない防水層を形成することができます。密着工法(接着工法)は防水層全面が下地にくっつくように施工しますので、水路のない防水層を形成しやすい工法です。
  • 「耐風圧性」とは…
    風圧にどのくらい耐えられるか、その性能のことをいいます。防水層にとっては、強風時に起こる防水層を持ち上げようとする力(負圧)に対して下地にどれくらいくっついていられるのか?その性能を表します。耐風圧性が低いとせっかくの防水層が下地から剝がれてしまいます。そればかりか、防水層が飛散してしまい周囲の建物などを傷つけてしまったら…。考えるだけでも恐ろしいことです。密着工法(接着工法)は、防水層全面が下地に密着しますので、優れた耐風圧性があります。

短所は、下地亀裂追従性といえます。

  • 「下地亀裂追従性」とは…
    下地の亀裂(ひび割れ)や建物の動きに対してどれだけついていけるのか?その性能をいいます。コンクリートなどは乾燥収縮によって、時間が経つとひび割れてきてしまうことは宿命といえます。また、どんな構造の建物でも温度変化によって膨張収縮を繰り返しています。
    密着工法(接着工法)は下地全面に密着しているため、このような下地の動きにつられて変形、損傷してしまうことがあり、そのリスクが後ほどご説明する絶縁工法と比べて高いといえます。また、下地に水分がある場合、太陽によって熱せられた水分が気化膨張し、その圧力で防水層を持ち上げて「ふくれ」を発生させてしまうことがあります。
絶縁工法…

下地に対して、防水層を部分的に張付ける工法です。広い意味では、「防水改修の3工法」でご説明する、「機械的固定工法」も絶縁工法の一種といえます。多くの絶縁工法は、改質アスファルト防水常温粘着工法用シートの技術を応用しています。裏面に粘着剤を部分的に配したシートを組合せることで絶縁工法を可能にしています。

改質アスファルト防水常温粘着工法用シートの裏面(写真:左)赤線で囲ってあるのと同じ、黒く光って見える部分が粘着面。あみだくじのように接着しない部分があるのがおわかりになるでしょうか?


絶縁工法の長所と短所

長所は下地亀裂追従性といえます。
下地亀裂追従性に優れるため、建物の動きによって防水層が変形(損傷)しにくく、また、接着しない部分が空気の通り道にもなるため、水分が気化膨張して防水層にふくれが発生しそうになった時、脱気筒を取付けておくことで水蒸気を外気に放出してくれます。絶縁工法は、脱気筒の設置と組み合わせることで「ふくれ」の発生も防いでくれます。

短所というほど不安はありませんが、水密性は密着工法(接着工法)と比べて低いといえます。
絶縁用のシート1枚で防水層とすることは例外を除いてありません。つまり絶縁用のシートの上にもう1枚、あるいはもう1層防水材料を施工して防水層とします。そのため絶縁工法も防水性能は高く、多くのご採用をいただいています。
ただし、万が一水が入ってしまうと空気の通り道が水の通り道となり、勾配に沿って水が流れていってしまいます。密着工法と比べると、万が一の時に漏水事故につながるリスクが高いということになります。


CHECK POINT!

機械的固定工法

先にご紹介した「機械的固定工法」も、絶縁工法の一種ですが、この工法はアンカーや固定部材をつかって文字通り、機械的に防水層を下地に留付ける工法です。改質アスファルト防水常温粘着工法の技術を応用した絶縁用のシートは部分的接着に接着しますが、機械的固定工法はアンカーによる「点固定」となります。そのため、耐風圧性能の確認が非常に重要になります。あまり不安にさせたくないのですが、機械的固定工法で施工した防水層が台風の時に飛んでいってしまうという事故も起こっています。私たち雨漏りSP北海道は、機械的固定工法を採用する際、固定強度の検査、確認をしっかりおこない、万が一の事故が発生しないよう細心の注意を払っています。

参考までに、密着工法(接着工法)、絶縁工法、機械的固定工法でどのくらい接着面積に差があるのか比較してみましょう。

  密着工法(接着工法) 絶縁工法 機械的固定工法
m²あたりの接着面積 100% 54%程度 m²あたり3箇所程度

その差は歴然ですね。建築基準法にも耐風圧性の基準が設けてあり、さらに厳しく安全率を割り出して固定部材の割付を検討しています。

防水改修の3工法

防水改修工事を検討する場合、大別しますと、既存防水層を撤去して新規防水層を施工する「撤去工法」と、既存防水層は基本的に残した状態で、その上から施工する「かぶせ工法」が検討されます。いずれかの選択は現場の状況、劣化状況等により異なりますが、単純な比較をした場合以下のような比較ができます。

撤去工法…

既存の保護層・防水層を全面的に撤去して新規防水を施工する工法です。

かぶせ工法…

極端な劣化部分のみを撤去し、既存保護層、既存防水層を下地として新規防水層を施工する工法です。
既存防水層を残した状態で、その上から新規防水層を施工する工法を「かぶせ工法」と定義した時、「かぶせ工法」は「再生工法」と「機械的固定工法」に分けられます。工事現場では機械的固定工法を「機械固定」と呼ぶことが多く、「再生工法」という言葉はあまりつかわれません。単に「かぶせ工法」ということがほとんどです。比較表では、便宜上かぶせ工法を再生工法と機械的固定工法に分けて比較します。

は優位性が高いと考えられる項目

  撤去工法 かぶせ工法
(再生工法) 機械的固定工法
解説

既存防水層を全面撤去し、新築時の下地に新規防水層を施工する。

撤去は最小限にし、適切な下地処理を施した上で、新規防水層を上からかぶせて施工する。

かぶせ工法の一種。既存防水層の上から下地に穴を開けて新規防水層をアンカー固定する。

騒音

既存撤去の際に騒音、振動が発生。

騒音、振動は少ない。

アンカー固定の際に騒音、振動が発生。

工期

撤去工事期間分、工期が長引く。

撤去工法に比べ、工期短縮が可能。

撤去工法に比べ、工期短縮が可能。

コスト

撤去工事、廃材処分費の計上が必要。

撤去工法に比べ安価。

下地処理が簡略化できるため安価。

作業

廃材搬出時、周辺に対し危険作業がある。

周辺環境に対し、安全性が高い。

周辺環境に対し、安全性が高いが、騒音が発生。

雨養生

撤去後、防水層施工前の漏水への配慮が必要。

既存防水性能が期待できる。

既存防水層の機能は完全に失われる。

環境

撤去廃材は産業廃棄物に該当する。

産業廃棄物が少ない。

産業廃棄物が少ない。

新規防水

さまざまな工法の選択が可能。

既存と新規の防水材料の相性を考慮する必要がある。

ALCなど下地構造の問題を除き、既存防水層との相性を考慮せずに採用が可能。

考察

既存防水層が撤去すべき状況の場合は撤去工法を採用しながら、次回改修時にはかぶせて改修が可能な仕様を選定するとメリットがある。

既存防水層を再度下層防水層として利用しながら新規防水層を形成するため、信頼性・耐久性が高い。現在の防水改修の主流。

既存防水層の浮きやふくれが顕著な場合や数年後に建替計画などがある場合はメリットあり。次回以降の改修は撤去工法の検討が必要となる。

上記の表から、防水改修工事では「かぶせ(再生)工法」の採用が、工期・コスト・信頼性、そして資産価値向上の観点からも優位性が高いと考えられます。ただし、かぶせ(再生)工法の採用には、既存防水層との相性を考慮する必要があります。
改修工事の場合、密着工法(接着工法)か絶縁工法かの選定は、上記の3工法を決定した後、防水材料の選定と併せて検討することになります。

④防水を長持ちさせるには?

建物の屋上は、水・熱・紫外線による影響を常に受け続けています。そのため、年月とともに防水性能も徐々に低下していきます。しかし、日々の点検や清掃など、ちょっとしたメンテナンスで寿命を延ばすことができるのです。ここでは専門家による防水層の健康診断や、お住まいの方にもできるメンテナンスについてご紹介いたします。


『こんな症状が防水層劣化のサインです』

保護塗料の退色

防水層のふくれ

シートの破断・損傷
(保護塗料の塗替えが有効です。)

塗膜防水層の劣化

ドレン(排水口)周りの土砂堆積

防水層の裏側に雨水浸入。
塗膜コンクリート成分の染みだし
植物の生育
(植物の根は防水層も貫通することがあります。)


いますぐできる!防水層のメンテナンス
① 防水層の表面に異常がないか点検する 年1回程度

目視で著しい異常があれば、雨漏りSPにご相談ください。

② ドレン周りの点検・清掃 年2回程度

ゴミが詰まると植物が生えやすくなり、水溜りや漏水の原因になることがあります。
特にドレン周りのゴミはこまめに清掃しましょう。

③ 植物の生育状況の確認

植物の根は防水層を貫通していることがあり、むやみに引き抜くと漏水が発生することもあります。
大きく生長した草木については、根元で切るなどして今後の生育を防止しましょう。

④ 業者にお願いするメンテナンス

防水層の健康診断や保護塗料の塗替えなど、専門的な技術が必要なメンテナンスもあります。
別途雨漏りSP北海道にご相談ください。


『劣化事例チェックシート』

防水層のメンテナンスをおこないながら、不具合箇所を早期に発見することが防水層を、ひいては建物を長持ちさせる秘訣です。不具合現象や劣化現象は、どのような点に留意して防水改修工事をおこなわなければならないか、重要なヒントも与えてくれます。
皆さまの建物の屋上やバルコニーの床がどのような状況ですか? 下のチェックリストで診断してみましょう

Q01
押えコンクリートのひび割れ発生

Q02
押えコンクリートの欠損

Q03
伸縮目地の突出/植物の生育

Q04
保護塗料の減耗・退色

Q05
ふくれの発生
(雨水が入り水枕上)

Q06
ジョイント部(重ね部)の口開き

Q07
ウレタン塗膜防水表面の減耗
・チョーキング

Q08
塗膜防水層のふくれ

Q09
塗膜防水層の破断・剥れ

Q10
シートの硬化・収縮・剥離

Q11
機械的固定防水層/アンカーの突出

Q12
シートの破断

Q13
鳥害跡(シートの損傷)

Q14
防水層の欠損

Q15
シーリング材の硬化・破断・減耗

Q16
外壁のひび割れ/鉄筋曝露や錆汁流出

Q17
夏季における室内温度の過剰上昇

Q5~14にお心当たりがある場合は速やかに補修工事や、改修工事実施の必要性が認められる劣化状況です。
また、Q1~4についても経年による防水層の劣化が進行している可能性がございます。不安に感じることがございましたら、雨漏りSP北海道にお問い合わせください。


CHECK POINT!

屋上の部位の名称

防水工事で扱われる屋上の部位の名称は、聞きなれないとどこのこと言っているのかよくわかりません。見積書にも「平面部」、「立上り」など、部位を表す用語があふれています。ここでは、部位の名称を解説いたします。

上記は一般的な部位の名称になります。他にも特殊な形状(特定の位置や特定の目的で設置されている)のものを「役物(やくもの)」と呼び、防水工事を行う際には、注意が必要な箇所になります。ドレン(排水口)も役物のひとつです。


『防水工事の隠れた主役!? 納まり』

冒頭に申し上げた通り、メンブレン防水の原則は、

防水対象に、連続一体化した不透水性の皮膜(=メンブレン防水)を形成することです。
付け加えるなら、「風呂桶状に」とか、「防水層の最終端末(端部)が雨がかりしないように」といったところでしょうか。
この「付け加えるなら」が、今回の主役「納まり」です。「雨仕舞(あまじまい)」とも呼ばれます。

聞きなれない言葉かもしれませんが、防水工事における「納まり」は材料の品質や職人さんの腕と同じ、あるいはそれ以上に重要なポイントです。

「納まり」とは、防水層の最終端末(端部)を雨水が到達しないようにどのような形状で施工するか、あるいは異なる材料同士をどのように取り合わせるかといった専門的な言葉です。納まりの検討は、納まりに問題があること自体に気づかなければなりませんので、知識・経験といった高い技術力が要求されます。

どんなに高品質で高価な材料を用いて、最高の技能を有する職人さんが施工しても納まりに間違いがある防水層は、その対価が得られない、漏水を招く防水層となってしまいます。現場では、しばしば「納まりどうする?」、「このままじゃあ、納まらないな…。」というふうに会話の中で聞こえてきます。


納まりの一例

CACE1

赤線で囲んだ部分が狭すぎて新規防水層を施工できない?!

かぶせ(再生)工法を採用の場合でも、立上りの防水層は撤去してから新規防水層を施工したいところですが、このケースでは撤去もままならず、新規防水層の施工もしっかり行うことができません。


CACE2

立上りの防水層が元々納まっていない?!

これは防水層の剥離を伴っていますのでわかりやすいケースですが、元々の施工時に端末金物とシーリングが施工されておらず、納まっていません。改修工事の際は、きちんと防水層を納めなければなりません。この状態で工事が終了、引渡しが行われていたと思うとゾッとします。


CHECK POINT!

「工法選定の答えはひとつじゃないっ?!」

既存防水層の種別や新規防水層との相性、劣化状況、屋上の形状などから工法や使用する防水材料、仕様を選定するわけですが、答えはひとつではありません。その理由は、下地処理方法の多様化や、材料・工法(仕様)の充実、違った防水材料を組合せる技術の確立などが挙げられます。

絶対に「この工法」でないといけない理由は、実は存在しないとすらいえるかもしれません。工事の時期や、お求めの防水性能・耐用年数・コスト・用途・意匠性など、多角的な工事へのニーズによって、工法選定の幅が広がります。

⑤の「工事までのプロセス・業者選びについて」につながる話ですが、大切なのは誠意ある、信頼できる業者さんと出会うことだと私たちは考えます。ぜひ私たち雨漏りSP北海道にご相談ください。


⑤工事までのプロセス・業者選びについて

これまでできるだけわかりやすく防水についてご説明してきたつもりですが、ちょっと技術的なお話になってしまい、「結局なにをどうすればいいの?」というお声が聞こえてきそうです…。
さあ、ここからは、実際に防水改修工事を成功に導くための一般的なポイントをご紹介させていただきます。


工事までのプロセス <一例のご紹介>

1. まずは相談・お問合せ

お電話・メールにて状況の確認をおこないます。マンションなどの管理組合様や法人様の場合は、事前に管理会社様に相談したり、設計事務所にコンサルティングを依頼したりと、雨漏りSP北海道に直接ご相談いただく前に、周囲の方と話し合いましょう。急ぎすぎると後々合意形成がうまくとれないなど、工事を円滑に進めることが難しくなることがあります。

2. 現地の調査・診断

ご依頼いただいた内容を元に調査日を決定し、実際に現地の調査・診断をおこないます。管理会社様や設計事務所様をコンサルティングにされていらっしゃれば、工事までのプロセス2~3は段取りをしてもらえるはずです。

3. 検討・設計

工事実施の必要性、工事内容、材料・工法の検討をします。

4. 各種書類の作成と提出・説明

調査報告書、御見積書を持参して調査結果や工事についてご説明いたします。

5. 工事契約

調査報告書や御見積書にご納得いただけたら、施工計画書などその他に必要な書類の作成、提出をさせていただき、工事契約をいたします。


CHECK POINT!

ちょっとまった!工事契約をする前にきちんと確認しておきましょう。

防水改修工事は決して安価な工事ではありません。「これまで漏水していなかったし、そろそろ改修時期だと思っていたから専門業者に任せておけば心配いらないだろう…。」

防水工事は新築時と改修時ではまったくの別物です。新築の時は防水工事が終わってから、さらにコンクリートを打設したり、機械設備を防水層の上に設置したりします。しかし改修工事は、その後に行う工事です。新築時と同じ条件で防水工事をおこなえることはまずありません。


ズバリ確認!信頼できる防水業者を選びましょう。
其の壱:なぜ、その防水材料・工法を選定したのか根拠を聞いておきましょう。

しどろもどろでは知識不足、現状に対しての認識不足が疑われます。

其の弐:今までと違う仕上がりになる箇所はないか、なぜそうなるのか聞いておきましょう。

違う仕上がりになるということは、そこに何らかの理由があり、多くの場合は「施工性」や「納まり」、「改修後の用途」に起因しています。仕上がりを変えなかった時のリスクなども話しができるかで業者の技術力をうかがい知ることができます。いい加減な業者はすぐに答えられないでしょう。

其の参:見積書の項目をみて、それがどんな工事なのかはっきり聞いておきましょう。

見積書の項目は、工事を進める工程を示しているといってもよいでしょう。どんな順序でなにをどうしていくのか確認しておきましょう。実際の工事では、減る項目や増える工事、数量の変更もでてくるはずです。事前に確認しておくとそのチェックができ、業者に理由をたずねられます。

其の四:業者に工事への考えや施工体制、アフターサービスについて確認しておきましょう。

工事中の安全対策は? 施工する職人さんの経験や資格は? 施工後の点検などを予定しているか? など工事終了後のことについてもどのような対応を考えているか聞いてみると信頼できる業者かどうか、判断材料になります。

見積書は、その業者がどのような工事を行おうとしているかを判断するのに必要な資料です。其の参とつながりますが、項目が少なく、「一式いくら」の表現が多い業者は、具体的な工事のイメージを持たずに見積を作成している可能性があります。ズバリと確認し、その業者が信頼できるかどうかとことん確認して決定しましょう。


いかがでしたか? 防水について少しでも知識を深めていただけたのであれば幸いです。防水工事の技術は材料、工法を含めて日進月歩です。ここではお伝えしきれないところも多々ございますが、ご不明な点や、もっと聞いてみたいと思われたら、ぜひ雨漏りSP北海道までお気軽にご相談、お問合せください。

えっ?!こんなに疑うようなことをしないといけないの?

確認も大切ですが、やはり一番大切なのは信頼関係だと、私たち雨漏りSPは考えます。お互いに疑心暗鬼の中で工事が進むと思うと、私たちもつらいです…(泣)ただ、悪くいう気はないのですが、悲しいかな技術力の乏しい業者さんがいるのもまた事実なのです。自衛方法として確認は必要でしょう。

いかがでしたか? お伝えしきれないところも多々ございますが、少しでも防水の知識を深めていただけたのであれば幸いです。

防水改修をご計画の際は、ぜひ私たち雨漏りSPにお声掛けください。安心できる空間づくり屋根から創造いたします!

お問い合わせは…雨漏りSP北海道 北海道改修センター事務局 011-223-7611 札幌市中央区大通⻄6-2-6 三井生命札幌大通ビル3F 田島ルーフィング(株)札幌営業所内